到来 - 2014.04.28 Mon
くちびるが触れた
音もなく
風が掠めるかのように
太陽が高くのぼるころ
蝉の声しか聞こえない真夏日
ふたり、ベンチに座って
ぼくは、ソーダ味のアイスをかじった
学校を抜け出した正午
自転車で走り抜けた川辺
街の喧騒は遠く
むせかえるような緑に目が眩む
まるで時が止まったかのような
このまま永遠に夏が終わらないかのような
そんな気がした
隣に君がいて
静かに静かにぼくの名を呼ぶ
何度も、呟くように
いっそ溶け出してしまえばいいと思った
この身体もろとも、
くすぶる想いが夏に溶け出してしまえばいいと
ぽたりと
溶け出したアイスが地面の色を変える
まるでぼくの心に落ちた
名のつけられない感情のようだと
まどろむ意識のなかで、そう思った
(唇へのぬくもりは 夢か、現か)
(暑い、と隣から君の声が聞こえた)
音もなく
風が掠めるかのように
太陽が高くのぼるころ
蝉の声しか聞こえない真夏日
ふたり、ベンチに座って
ぼくは、ソーダ味のアイスをかじった
学校を抜け出した正午
自転車で走り抜けた川辺
街の喧騒は遠く
むせかえるような緑に目が眩む
まるで時が止まったかのような
このまま永遠に夏が終わらないかのような
そんな気がした
隣に君がいて
静かに静かにぼくの名を呼ぶ
何度も、呟くように
いっそ溶け出してしまえばいいと思った
この身体もろとも、
くすぶる想いが夏に溶け出してしまえばいいと
ぽたりと
溶け出したアイスが地面の色を変える
まるでぼくの心に落ちた
名のつけられない感情のようだと
まどろむ意識のなかで、そう思った
(唇へのぬくもりは 夢か、現か)
(暑い、と隣から君の声が聞こえた)
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初夏、昼下がり、まどろみの中で - 2013.07.08 Mon
風が吹き抜けた
あれから何度目の夏を迎えただろう
いつまでたっても空は青いままで
いつまでたっても私は弱いまま
暑い暑い夏が過ぎる度に
変わったことといったら
簡単には泣けなくなったこと
たくさんの責任を負うごとに
たくさんの友人を捨ててきた
ひとりぼっちの日々は長く
なんと穏やかで淋しいことだろう
誰の声も聞こえない
聞こえるのはただ風の音
青い空は私に迫り
落ちてしまえと語りかける
ああ、なんて深い。
深い、深い、青だろう
(このまま落ちてしまおうか)
(全ての思考を放棄して、全ての夢を捨てて)
あれから何度目の夏を迎えただろう
いつまでたっても空は青いままで
いつまでたっても私は弱いまま
暑い暑い夏が過ぎる度に
変わったことといったら
簡単には泣けなくなったこと
たくさんの責任を負うごとに
たくさんの友人を捨ててきた
ひとりぼっちの日々は長く
なんと穏やかで淋しいことだろう
誰の声も聞こえない
聞こえるのはただ風の音
青い空は私に迫り
落ちてしまえと語りかける
ああ、なんて深い。
深い、深い、青だろう
(このまま落ちてしまおうか)
(全ての思考を放棄して、全ての夢を捨てて)
揺れる - 2011.10.31 Mon
苦しみを口にするたびに
鮮やかな色が僕のまわりから消えていった
白い煙と一緒にため息を吐くと
ほんの少し、視界がゆがんで見えた
単調な毎日の中に
少しずつ寂しさがにじんで
どうしようもない思いとなって
僕の心をざわめかせる
ひんやりとした季節の変わり目に
空がやさしく色を変えて
僕のいやしささえも包み込んでくれるよう
ゆるやかな秋色の中
遠くから犬の鳴き声が聞こえる
静かに煙を吸い込み
僕はまた、歩きだす
落ちた影がゆれる
僕の心がゆれる
風に吹かれるまま、
ひとり 。
(暮れ行く秋の日)
(ふと、君の顔が脳裏をかすめた)
鮮やかな色が僕のまわりから消えていった
白い煙と一緒にため息を吐くと
ほんの少し、視界がゆがんで見えた
単調な毎日の中に
少しずつ寂しさがにじんで
どうしようもない思いとなって
僕の心をざわめかせる
ひんやりとした季節の変わり目に
空がやさしく色を変えて
僕のいやしささえも包み込んでくれるよう
ゆるやかな秋色の中
遠くから犬の鳴き声が聞こえる
静かに煙を吸い込み
僕はまた、歩きだす
落ちた影がゆれる
僕の心がゆれる
風に吹かれるまま、
ひとり 。
(暮れ行く秋の日)
(ふと、君の顔が脳裏をかすめた)
遠き日の貴方へ - 2011.08.22 Mon
風の吹く夜は初夏
雨が降っていた
僕は流れ落ちる雨音を背景に
昔々の詩人に語りかける
そちらの具合はどうですか?
風は吹いていますか?
雨音はやはり
静かに夜を振わせていますか?
外は闇
飛び出せばきっと
貴方のもとへと続いている
それでも僕は
明るい家の中でカタカタと
電子機器にただ文字を打ち込み
昔々へと続く夜道を思いながら
ここを動く気はないのだ
季節は初夏
風がカアテンを揺らし
雨はまだ、降り続いている
-------
尊敬する詩人へ向けて
2010.夏の始めに
雨が降っていた
僕は流れ落ちる雨音を背景に
昔々の詩人に語りかける
そちらの具合はどうですか?
風は吹いていますか?
雨音はやはり
静かに夜を振わせていますか?
外は闇
飛び出せばきっと
貴方のもとへと続いている
それでも僕は
明るい家の中でカタカタと
電子機器にただ文字を打ち込み
昔々へと続く夜道を思いながら
ここを動く気はないのだ
季節は初夏
風がカアテンを揺らし
雨はまだ、降り続いている
-------
尊敬する詩人へ向けて
2010.夏の始めに
混ざり行く - 2011.07.31 Sun
夏がきらいだった
暑い暑い日差しと
道路の先で揺れる陽炎
街路樹にしがみついた蝉が
うるさいほどにわめき続け
突き抜けるような色をした空は
ぽっかりと口を開け
僕が落ちてくるのを待っているかのようだ
夏がきらいだった
楽しそうに笑う君の姿も
目を細めて空を仰ぐ仕草も
僕の心を乱す
煩わしい存在でしかなく
目をそむけた先に見えた
空高く飛んで行く白球が
僕の目にはひどく眩しく映った
生温い風が吹き抜け
認めてしまえと僕を追いたてる
ふと 君の声が耳を掠めた気がした
むせかえるような夏の日
ざわざわと胸が騒ぐ
遠ざかる意識の中
目の前が やけに、
青い 。
(この胸の内でくすぶる思いは)
(きっと、夏の太陽が僕を焦がすせいだと)
-------
8/03
少しだけ、書き加え。
後半部が苦しいな…
暑い暑い日差しと
道路の先で揺れる陽炎
街路樹にしがみついた蝉が
うるさいほどにわめき続け
突き抜けるような色をした空は
ぽっかりと口を開け
僕が落ちてくるのを待っているかのようだ
夏がきらいだった
楽しそうに笑う君の姿も
目を細めて空を仰ぐ仕草も
僕の心を乱す
煩わしい存在でしかなく
目をそむけた先に見えた
空高く飛んで行く白球が
僕の目にはひどく眩しく映った
生温い風が吹き抜け
認めてしまえと僕を追いたてる
ふと 君の声が耳を掠めた気がした
むせかえるような夏の日
ざわざわと胸が騒ぐ
遠ざかる意識の中
目の前が やけに、
青い 。
(この胸の内でくすぶる思いは)
(きっと、夏の太陽が僕を焦がすせいだと)
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8/03
少しだけ、書き加え。
後半部が苦しいな…